「腰の痛みがなかなか治らないのはやっぱり年のせい?」
「YouTubeで検索しても、どのストレッチをすれば良いのかわからない」
「これは腰痛なのか、それとも違う病気なのか…」
こんな感じでお悩みではありませんか?
そこでこの記事では、腰痛患者のリハビリを20年以上提供してきた理学療法士である私が
- 腰痛のタイプとそれに合ったストレッチを知る
- 再発を防ぐ生活習慣と姿勢の工夫を身につける
- 腰痛で見逃してはいけない兆候を知る
といった内容を紹介していきます。
痛みの出かたによる腰痛の種類

さっそくストレッチの方法を紹介したいところですが、ストレッチをする前に大切なことを理解しておく必要があります。
それは、前屈(身体を前に曲げる)で痛いのか、後屈(身体を反る)で痛いのかをハッキリさせることです。
その点をハッキリさせないままストレッチをすると、改善しないどころか悪化させてしまうケースもあるので注意が必要です。
前屈すると痛みが出る腰痛を前屈型腰痛、後屈すると痛みが出る腰痛を後屈型腰痛として違いを説明していきます。
前屈型腰痛で知っておきたいこと
特徴
- 前かがみになると痛みが増す
- 背中を丸める、物を拾う、靴下を履くといった動作で痛みが出る
- 座っているだけでも痛むこともある
主な原因・疾患
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 筋・筋膜性腰痛
- 長時間のデスクワークや運転による腰の筋肉疲労
痛みの場所
- 腰の中央~お尻、太ももにかけて放散痛が出ることも(坐骨神経痛)
よく見られる人
- 若年層〜中年層
- スポーツをしている人、デスクワーク中心の人
後屈型腰痛で知っておきたいこと
特徴
- 体を反らすと痛みが強くなる
- 起き上がる、立ち上がる、背筋を伸ばす動作で痛みが出る
- 立っているとつらいが、座ると楽になることが多い
主な原因・疾患
- 腰部脊柱管狭窄症
- 腰椎分離すべり症
- 椎間関節性腰痛
- 加齢による関節の変形(変形性腰椎症)
痛みの場所
- 腰の後方、臀部、下肢にかけてしびれや痛みが出ることも
よく見られる人
- 中高年〜高齢者
- 長時間の立ち仕事をしている人、前屈よりも反らす動作が多い人
前屈型腰痛と後屈型腰痛の違い
| 項目 | 前屈型腰痛 | 後屈型腰痛 |
| 痛みが出る動作 | 前かがみ | 身体を反らす |
| 主な原因 | ヘルニア・筋筋膜性腰痛など | 狭窄症・すべり症など |
| 好発年齢 | 若年~中年 | 中高年~高齢者 |
| 痛みやすい状況 | 座位・前屈 | 立位・後屈 |
腰痛のタイプ別おすすめストレッチ

前屈型腰痛の方におすすめのストレッチ
ハムストリングス(太もも裏の筋肉)を伸ばそう
ハムストリングスは骨盤や腰の動きに関係する大切な場所です。
やり方:
- イスに座って、片足を前にまっすぐ伸ばします
- もう片方の足は、90°に曲げておきましょう
- 背すじを伸ばして、そのまま前に体を倒していきます
- 太ももの裏が伸びてきたら20〜30秒キープ
- 足を入れ替えて反対も同様に
ポイント:
無理に伸ばすと逆効果なので、気持ち良いくらいで止めます。
腹直筋(お腹の筋肉)を伸ばそう
やり方:
- うつ伏せになります
- 両手を肩の下に置きます
- 両手で床を押して、上体を起こします
- お腹が伸びているのを感じたら20~30秒その姿勢をキープします
ポイント:
腰に痛みがない範囲で上体を起こします。後屈型腰痛の方におすすめのストレッチ
大殿筋(おしりの筋肉)を伸ばそう
大殿筋が硬くなると、腰の適度な前弯が保てなくなります
やり方:
- 仰向けになり、両膝を立てます
- 右足を左膝の少し上に乗せます
※右足が外に開く形になります - 2の状態を保ったまま、左足をお腹の方に引き寄せます
※両手で左膝を抱え込むような感じ - 右のおしりが伸びているのを感じながら20~30秒キープします
ポイント:
少しツライ姿勢になるので無理して伸ばさないようにしましょう
後屈型腰痛の方におすすめのストレッチ
腸腰筋(股関節の前)を伸ばそう
やり方:
- 片膝立ちになります
- 前の足は膝を90°に曲げ、後ろの足はまっすぐ後方に伸ばします
- 骨盤を前方に押し出すようにして、後ろ足の股関節前方を伸ばします
- そのまま20~30秒姿勢をキープします
ポイント:
4の姿勢のとき、腰が反らないようにしましょう
大腿四頭筋(太ももの前にある筋肉)を伸ばそう
大腿四頭筋が硬くなると、反り腰になりやすくなります。
やり方:
- 壁や椅子に手をついて、片足で立ちます
- もう片方の足の足首を持ち、お尻に向かって引き寄せます
- 太ももの前が伸びているのを感じたら、そのまま20〜30秒キープ
- 反対の足も同じようにやりましょう
ポイント:
膝が外に開かないようにまっすぐ引くこと。腰を反らないように注意
脊柱起立筋を伸ばそう(背筋)
やり方:
- 背もたれがあるイスに座ります
- 後ろに振り向くように身体を捻ります
- 両手で背もたれを持ちながら20~30秒キープします
- 反対の足も同じようにやりましょう
ポイント:
痛みが出ない範囲で振り向くようにしましょう
ストレッチを「習慣」に変えるための小さなコツ5選
病院勤務をしていると、腰痛患者さんに自宅でのストレッチを指導することも多くあります。
しかし、自宅でできるストレッチを教えても、それを継続して実行できるケースはとても少ないです。
1週間後に、指導したストレッチを再確認しても、ほとんど覚えていないこともあります。
いざとなると面倒だな、という気持ちはよくわかります。
そこでストレッチを習慣化するのに良い方法を7つ挙げていきます。
自分の生活に取り入れやすいものを選んで、ぜひストレッチを習慣化し、腰痛改善、腰痛の再発予防をしていきましょう。
1.まずは「1分」で十分
「毎日30分やるぞ!」と決めても、せいぜい続いて3日です。だから最初は、1分だけでもOKとしましょう。
「朝ベッドから起きたときに、もも裏を伸ばす」
「寝る前に布団の上で膝を抱えてお尻を伸ばす」
たったそれだけでも良いです。まずは少しでも実施することが大事です。
2.ストレッチのタイミングを決めておく
何かを習慣化するときに有効なのは「実施するタイミングを決めること」です。
「歯を磨いたあとにストレッチをする」
「朝のコーヒーを飲む前に体をほぐす」
など、毎日の生活の中に組み込むのがポイントです。
自分のタイミングを見つけて、ストレッチの習慣化を目指しましょう。
3.自分の身体を観察する
痛い、痛くないの2択で判断すると、なかなかポジティブな変化は得られません。
例えば、前屈して痛みが出始めたときの指先から床までの距離を測ってみましょう。
同じ前屈して痛みが出る状態でも、先週は床までの距離が15cmだったのが、今日は5cmであれば、それは改善していると判断できます。
このような変化は、身体を観察して数値化や視覚化をすることでわかります。
測るのが手間であれば、家族に写真を撮ってもらって変化をみるのも良い方法です。
4.ストレッチは毎日やらなくても良い
毎日やるぞ!と思うと、1日サボっただけでも、大きな失敗をしたような感じがしてしまいます。
でも、そんなことはありません。週3回のストレッチでも効果があると言われています。
少し間が空いても止めないことが何より大事。思い出したときに始めるようにしましょう。
5.環境を整えよう
さあストレッチしよう!と思ったとき、いつも使っているマットが見当たらないことありませんか?
そんなとき、人はマットを探すのが面倒になって、ストレッチもやらなくなってしまいます。
だからマットはいつも敷きっぱなし、あるいは決まった場所に置いておくことが大切です。
せっかくのやる気をマットがない、という理由で阻害してしまうのはもったいないです。
気が向いたらすぐにストレッチができる環境を整えておきましょう。
腰痛を再発させないために大切なこと

腰痛を再発させないためにストレッチや筋トレなどを実施することは大切です。しかし、それだけでは不十分です。
なぜなら、腰痛になる姿勢や日常生活での動作を改善する必要があるからです。
どんなにストレッチや筋トレを頑張っても、普段の姿勢が悪いままだといずれ再発する可能性があります。
そこでここでは、どのような姿勢が腰に負担をかけるのかを紹介していきます。
実は、前屈型腰痛でも後屈型腰痛でも気をつけた方が良い姿勢や動作はある程度共通しています。
日常生活で負担がかかる姿勢を理解して、つらい腰痛の再発を防ぎましょう。
前屈みの姿勢は極力減らそう
洗顔、掃除、靴を履くときなど、日常のちょっとした場面で前屈みの姿勢になります。
1つ1つの負荷は小さくても、それが毎日となると腰は悲鳴をあげます。
とはいえ、前かがみの姿勢を取らないで日常生活を送るのは難しいものです。
だからこそ、ちょっとした工夫をして腰への負担を減らしましょう。
- 洗顔や歯ブラシのとき:足元に5〜10cmくらいの小さな踏み台を置いて、そこに片脚を乗せます。
- 靴を履くとき:無理に立ったままかがまず、椅子に座って履きましょう。
- 床のものを拾うとき:腰だけを曲げるのではなく、膝をしっかり曲げてしゃがむ、あるいは片膝を床につけて拾うと楽です。
- 掃除機を使うとき:5分掃除機を使ったら、1度背を軽く伸ばしましょう。
- 台所仕事のとき:足元に5〜10cmくらいの小さな踏み台を置いて、そこに片脚を乗せます。疲れてきたら乗せる足を入れ替えましょう。
腰を曲げないで生活することはほぼ不可能です。膝を使ったり、連続して屈んだ姿勢を取らなかったりして腰への負担を減らしましょう。
寝ているときは、環境が大切
病院でリハビリをしていても「朝起きたときに腰がいちばんつらい」と訴える方は多いです。
そんなときは眠っている姿勢や寝具が影響しているかもしれません。
- 仰向けで寝ていると、自然に腰が反ってしまい、それが痛みの元になることがあります。
そんなときは、膝の下にクッションを入れてみてください。腰の反りがやわらいで、負担が軽くなります。 - 横向きで寝る場合は、両膝の間にクッションやタオルを挟むと、体がねじれにくくなって腰が安定します。
- 布団やベッドが柔らかすぎると、体が沈んでしまい、自然な姿勢が保ちにくくなります。少し硬めの寝具が腰痛のあなたにはおすすめです。
寝ている間は姿勢を意識できません。そのため環境を整えることがとても大切です。
朝起きて「今日はちょっといい感じ」という姿勢を探してみましょう。
座っている時間は短い方がよい
座っている姿勢は楽なので、ついつい時間が長くなりがちです。
しかし長時間座っていると、次第に背中が丸まり、腰回りの筋肉や椎間板に負荷をかけることになります。
- 背もたれには深く腰かけて、背すじを少し伸ばして座るのが理想です。
- 腰のあたりにクッションや丸めたタオルを挟むと、自然と背中が伸びて姿勢を保ちやすくなります。
- 30分に一度は、立ち上がったりして姿勢を変えましょう。それだけでも、腰まわりがずいぶんと楽になります。
テレビを見ているときも、CMのタイミングで立ち上がって軽く背伸びをしましょう。
長時間の運転も腰に負担が大きいです。1時間に一回は数分の休憩を入れて、背伸びをしたり、車から降りて歩いたりすることがおすすめ。
荷物を持つときには腰を曲げすぎない
買い物の帰りや家の掃除中など、重たい物を持ち上げる場面は意外と多くあります。
そんなとき、つい腰をぐっと曲げて持ち上げてしまうと、腰を痛める原因になります。
- 荷物はできるだけ身体に近づけてから持ちましょう
- 腰を前に曲げるのではなく、しっかりと膝を曲げて、腰を落としてから持ち上げるのが基本
- 背すじをなるべく伸ばしたまま、足の力で持ち上げるイメージで
- 持ち上げる直前、お腹に少し力を入れる
腰痛で見逃してはいけない兆候

腰痛に悩まされている方は、年齢にかかわらず多くいますが、よくある痛みだからこそ「いつもの痛みだろう」と、放置されることも多いです。
でも腰痛には、命に関わる病気のサインが隠れていることもあるので注意が必要です。
見逃してはいけない兆候を「レッドフラッグ」と呼びます。多くの腰痛は、筋肉や関節の疲れからくるものですぐに危険な兆候、とはなりません。
しかし一部には、がん・感染症・骨折・神経の異常など、早めの治療が必要なケースがあります。
以下のような症状がある場合は、特に注意が必要です。ひとつでも当てはまったら、病院で相談することをおすすめします。
がんの可能性を示すサイン
- 昔、がんを患ったことがある
- ダイエットしていないのに体重が減ってきた
- 安静にしていても痛みが取れない、特に夜中は痛みが強い
- 痛みがだんだん強くなっている
腰の骨にがんが転移していたり、骨そのものに腫瘍ができていることがあります。
発熱や全身のだるさが続く
- 微熱が続いている
- 背中の痛みと一緒に食欲不振やだるさがある
- 糖尿病や免疫力が落ちている状態(がん治療中・高齢・透析など)
こういった症状がある場合は、背骨に細菌が入り込んで炎症を起こしている可能性もあります(脊椎炎など)。
転んだ後から強く痛む・背が縮んだ気がする
- 軽い転倒のあと、腰に鋭い痛みが走った
- 背が少し縮んだように感じる
- 骨粗しょう症と診断されたことがある
骨がもろくなっていると、わずかな衝撃でも背骨がつぶれる「圧迫骨折」が起こります。女性や高齢の方に多い症状です。
足がしびれる・尿や便のトラブルがある
- 足にしびれや力の入りにくさがある
- お尻や股のあたりの感覚が鈍い
- 尿が出にくい、または漏れてしまう
こうした症状が出ている場合は、神経の通り道が強く圧迫されている可能性があり、「馬尾症候群」と言われます。
手術が必要になるケースもあり、早めの対応がとても重要です。
まとめ
腰痛に有効なストレッチや再発予防に大事な姿勢などをまとめました。
腰痛は多くの方が経験する痛みですが、大切なのは「正しく知って、自分に合った方法でケアすること」です。
無理のない範囲でストレッチをする、日常の動作にも気を配る、この2つがとても大切です。
まずは1分のストレッチ、1つの注意すべき動作から始めてみましょう。
徐々に身体が変わってくるのを実感すると思います。
それでも、痛みがいつもと違うと感じたときは、迷わず病院で相談することが大切です。

